V I E N N A

ヴィエナ

 

ウィーンはそう呼ぶのが正しいようで、どこへ行ってもそれで通じた。

 

かつてオーストリア帝国が栄えた頃の文化の中心地ウィーンは、パリとも違う華やかさと静けさを持った街で、寒い季節に早朝から街に出ると「これほど絵になる街もそうそう無いなぁ」と感じる。日本ではスニーカーばかり履いている僕も、この街にいると革靴を履いてセーターを羽織って過ごしたい気分になる。また洒落たカフェは街のあちこちにあって、街中の建物は日本とは対極にあると言って良いほど整然とそして豪奢な仕様で長い年月の風雨に耐え抜いて出来たくすみすら、歳月の重みのような重厚感を醸し出している。

 欧州が上品である。

という理由の根源はこの建築群に寄与していると思う。アメリカには無い荘厳さ、パリとも違うコンパクトさと華やかさ、プラハとも違う賑わい。ウィーンにクラシック音楽やクリムトのような芸術が根付く理由はどこを切っても大人の街であるというところだろうか。

 アドルフ ロースの「華飾は罪悪だ」という言葉をウィーンの街中にある彼の作品GOLDMAN & SALATSCH (ロースハウス=写真)の前で思い出した。それほど中心地やミヒャエル広場には華飾に満ちた建物が乱立していた。現在の目線で見れば、それでもまだ装飾が多いロースハウスだが、当時の批判を気にすることなく装飾を削ぎ落としたロースの先見性には目をみはるものがあった。